Archive for the ‘遺言相続’ Category

【法律コラム】相続:遺言書作成の必要性ほか

2018-04-23

相続に関するご案内です。

平成28年12月の最高裁の決定を踏まえて、金融機関も、相続人全員の遺産分割協議書を提出しなければ、一部の相続人からの払い戻し請求には応じないという従来の対応を徹底しているようです。

相続人同士の関係性が良好の場合には、合意により被相続人の預貯金の払い戻しを受けられますが、必ずしも関係性がよくない場合やそもそも連絡が途絶えているような場合には、相続が発生してからでは、合意をすることができず、その結果として、預貯金の払い戻しを受けることが難しくなりますので、被相続人となりうる方は、生前に、遺言書を残す必要性が高まっているように思います。

また、相続発生後の遺産分割協議についても、できる限り速やかな話合いが大切です。

当事務所では、相続に関連するご相談は、初回1時間無料で対応しておりますので、お困りの方は、当事務所までお問い合わせください。

 

弁護士 坂根 洋平

【法律コラム】相続:預貯金も遺産分割の対象(判例の変更)

2017-03-23

こんにちは。弁護士の坂根です。

最近、相続のご相談をお受けしていると、以下のようなご質問をよくお受けします。

「相続人同士で遺産分割の話合いを行っていますが、なかなか話がまとまらず、家庭裁判所の遺産分割調停を行わざるをえない状況です。銀行預金は相続財産に含まれず、遺産分割の対象にならないと聞いていましたが、最近、ニュースで最高裁が見解を変更したとも聞きました。どのように考えればよいでしょうか。」

■ 従来の最高裁の見解(預貯金は遺産分割の対象ではない)

従来の最高裁は、預貯金などの可分な債権については、相続開始と同時に法定相続分に応じて、各相続人が単独で相続するという見解をとっていました。他方、金融機関は、実務上、相続人同士の争いごとに巻き込まれないよう、遺産分割協議書の提出か、あるいは、全相続人が署名押印した相続届の提出がなければ、預貯金の払戻しに応じていませんでしたが、それでも、(従来の)最高裁の見解に沿って、事案に応じて葬儀費用等を捻出できるよう「一部」の払戻しには応じたりしていました。

■ 判例の変更(預貯金も遺産分割の対象)

昨年12月19日、最高裁大法廷は、上記の従来の見解を変更し、預貯金は遺産分割の対象になるという初めての判断を示しました。最高裁は、その理由として、遺産分割の仕組みは相続人間の実質的公平を図るためのものであり、そのためにはできる限り幅広い財産を対象とすることが望ましいことなどをあげています。

判例変更により、社会における一般的な感覚や銀行実務に近い形となり、相続財産の公平な分配を実現することが可能になると思われますが、他方で、遺産分割が成立するなど相続人同士で一定の合意が成立しなければ、預金の払戻しを受けることがおよそ困難になります。

■ 遺言書の作成や迅速な遺産分割協議が重要

判例の変更により、今後、金融機関は、遺産分割前の預貯金の払戻しに一切応じないことも予想されます。その結果として、紛争(払戻しができない状態)は長期化し、相続人が葬儀費用などを相続財産から捻出できない事態や、相続税の申告期限である10か月以内に遺産分割協議が成立せず、相続税を納税するための資金を用意できないという事態も出てくると思われます。

今後、従来以上に、事前に遺言書を作成することが重要となるほか、遺言書がない場合には、相続人間で迅速に遺産分割協議を成立させる必要があると思います。

遺言書の作成や遺産分割協議に関する法律相談は、初回1時間無料で行っておりますので、ぜひ一度当事務所までご相談下さい。

 

弁護士 坂根 洋平

【法律コラム】相続:預貯金は遺産分割の対象か?

2016-11-07

銀行預金が遺産分割の対象になるか否かが争われた裁判で、最高裁大法廷が、先月19日、両当事者の意見を聞く弁論を開きました。

従来から、最高裁は、預貯金を遺産分割の対象とせず、不動産や株式といった他の財産と関係なく、法定相続分に応じて当然に分割されると考えてきました。つまり、相続人同士で、遺産分割協議が整っていなくても、早く預金の払戻しを受けたい相続人は、銀行等の金融機関に対して、法定相続分にしたがった預金の払戻しを求めることができる、というのが現在の正しい理論です。

ところが、現実問題として、上記理論にしたがって、遺産分割をしないまま各相続人が金融機関に対し払戻しを求めても、金融機関は、相続人同士の争いに巻き込まれることを避けるため、遺産分割協議書か、相続人全員の同意がなければ、法定相続分の預金の払戻しには応じていません。その結果として、弁護士が代理人となって粘り強く交渉するか、あるいは、銀行に対し訴訟を提起することが必要となっています。

上記のような現実問題に対応する形で、弁護士同士の話合いや家庭裁判所における調停などでは、預貯金も遺産分割の対象とするなど、柔軟な解決を試みていました。

最高裁の判例が変更になり、預貯金も遺産分割の対象とすることになれば、社会における一般的な感覚や銀行実務に近い形となり、相続財産の公平な分配を実現することが可能になると思われますが、遺産分割が成立するなど相続人同士で一定の合意が成立しなければ、預金の払戻しを受けることがおよそ困難になります。その結果として、紛争(払戻しができない状態)は長期化し、相続税の申告期限である10か月以内に遺産分割協議が成立せず、相続税を納税するための資金を用意できないという可能性も出てきます。

実務的に非常に重要な判例となるため、今後も注目していきたいと思います。

 

弁護士 坂根 洋平

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