パワハラ・セクハラに遭われた方へ

1 パワハラ・セクハラとは

近年は、パワハラ・セクハラの問題は、ごく一部の悪質な会社においてのみ行われているわけではなく、どのような会社でも日常的に起こりうる労働問題です。

パワハラの定義

厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」によると、職場のパワーハラスメント(パワハラ)とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」とされています。
この定義によれば、パワハラとは、上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含みます。

パワハラの行為類型は以下のとおりです。

  1. 身体的な攻撃(暴行・傷害)
  2. 精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
  3. 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
  4. 過大な要求(業務上、明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
  5. 過小な要求(業務上、の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
  6. 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

セクハラの定義

次に、セクハラについてご説明します。
男女雇用機会均等法第11条第1項によれば、職場におけるセクハラとは、

  1. 職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けること、
  2. 職場において行われる性的な言動により労働者の就業環境が害されること

を意味します。

男女雇用機会均等法により事業者にセクハラへの対策が義務付けられています。

2 誰が法的責任を負うのか

仮に、パワハラ・セクハラの被害を受けた場合、被害者は人格権侵害に基づき、パワハラ・セクハラを行った本人に対して損害賠償を求めることができます(民法第709条)。
また、通常、会社自体も使用者として同様の責任を負うため、会社に対しても損害賠償を求めることができます(民法第715条)。
したがって、セクハラやパワハラの被害を受けた方は、加害者と会社の両方に対し損害賠償請求をすることができます。もちろん、加害者のみ、あるいは会社のみを相手に損害賠償請求をすることもできます。

3 請求できる損害額

まず、パワハラ・セクハラを受けたことによって受けた精神的苦痛に対して、慰謝料を請求することができます(慰謝料)。一般的には、パワハラ・セクハラを受けた期間、頻度、発言の内容、生じた被害の大きさ等を総合的に評価して、慰謝料の金額が算定されます。
また、被害者がうつ病等の病気に罹患し、それが原因で会社を休んだ場合には、治療費や休業期間中の収入に対する補償(休業損害)を請求することもできます。
休業しても回復のめどが立たず、会社を辞めざるを得なかったような場合、次の職場が見つかるまでの合理的な期間の給与を損害として、加害者や会社に支払いを求めることもできます。
なお、パワハラ・セクハラによりうつ病等になってしまったことが労働災害に該当し、労災保険から治療費や休業補償給付が支払われている場合には、請求金額の調整が必要になります。

 

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