【コラム】どのように証人を尋問すべきか

こんにちは。弁護士の坂根です。

最近のニュースを見ていると、豊洲移転問題での百条委員会や国会の証人喚問などが報道されているため、私も、これらのニュースを見ると、弁護士が裁判所などで行う証人尋問を思い出します。

百条委員会や国会の証人喚問とは全く別の手続にはなりますが、裁判所の手続も、「尋問」という点では共通する部分もありますので、弁護士が裁判所などで、自分の引き出したい回答を証人から引き出そうとする場合、どのような点に気を付けているか少しお話したいと思います。

まず、そもそも、最初から有利な証言をすることが期待される証人については、それほど注意を払う必要はありません。

問題は、敵性証人といって、質問に対し有利な証言をしてくれない、あるいは、明らかに反発することが予想される証人に対する尋問です。裁判などでは、例えば私が原告の代理人の際に、被告本人や、被告に有利なことを証言する証人に対して尋問を行う場合がこれにあたります。

まず、このような敵性証人に対して尋問する場合、行ってはならない質問があります。

それは、例えば、ある事実の存在を否認している証人に対し、「なぜそのように言えるのか」とか、「本当にその事実はないのか」「~の責任について、どのように考えるか」などと質問することです。このような抽象的な質問をしても、証人は自由に意見を述べたり、自己の意見を上塗りしますので、質問をしても意味がなく、それどころか、証人の証言が強調されてしまい、裁判所はその証言を採用する可能性もあります。

もう一つ重要な点を挙げるとすれば、証言の信用性を減殺することに注力することです。

ここでいう減殺は、証人に、「証言の誤りを認めさせること」(ノックアウト)ではなく、「証言の矛盾を指摘すること」(ジャブ)を指します。つまり、時系列や事実のポイント(いつ、どこで、だれが、どのようなことをしたか)を外さないようにして、証人の証言が真実であるとすれば、その事実と矛盾する(整合しない)客観的な事実をどんどん指摘して質問していくことです。短い尋問の時間で、敵性証人からノックアウトをとることはとても難しいのです。

今後も、弁護士の仕事に関する話題を取り上げたいと思います。

 

弁護士 坂根 洋平

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