【法律コラム】交通事故:後遺障害診断書の書き方(1)

こんにちは。弁護士の坂根です。

久しぶりに、交通事故についてお話したいと思います。

 

今回は、タイトルのとおり、後遺障害診断書の書き方についてご案内したいと思います。

後遺障害診断書の記載事項で、よく問題となる項目は、主として以下の4つです。

1 「自覚症状」の欄

2 「他覚症状および検査結果」の欄

3 「関節機能障害」の欄

4 「障害内容の増悪・緩解の見通し」の欄

 

本日は、1の「自覚症状」についてご説明します。

むち打ち損傷等により頚部、腰部、手足などに痛みやしびれなどの神経症状が残った方については、「自覚症状」欄の記載が非常に重要です。

なぜ重要かといいますと、神経症状に関する後遺障害の等級認定は、「自覚症状」欄に記載された症状ごと(部位別)に、等級の該当性を検討するからです。

つまり、「自覚症状」欄に複数の症状が記載されていて、部位も複数に渡る場合、原則として、それらの症状は部位別に等級の該否を検討してもらえるため、相対的に等級認定の可能性が高くなります。

また、複数の症状が「頚部の痛み」「めまい」「右手指の痺れ」などと漏れなく記載されている方が、ただ一言「頚部の痛み」と記載されているより、程度として重い症状であると評価できると思います。

他方、本来は症状があるのに、その症状が記載されていないと(例えば、頚部痛のほか腰痛もあるのに、腰痛に関する記載が漏れている場合)、その症状(腰痛)は「存在しないもの」あるいは「治癒したもの」として取り扱われますので、この場合、当然のことながら、記載漏れの症状について後遺障害等級は認定されません。

ちなみに、異議申立てを行う際などに、あらためて症状を加筆してもらったり、別途診断書等を用意しても、後から生じた症状として取り扱われる可能性が高く、因果関係がないものとして、等級認定の対象に至らないことが多いといえます。

したがって、とくに痛み、痺れなど自覚症状を複数有する方は、病院の先生に、できる限り詳しく、漏らさず症状を記載してもらうことがとても大切です。

次回も、後遺障害診断書の書き方について、ご案内していきます。

 

弁護士 坂根 洋平

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