【はじめに】
こんにちは。弁護士の坂根です。
春を迎え、街や駅などで、新入生や新入社員の方々のフレッシュな様子をお見かけします。私も、4月より、ここ浦和にて事務所を開設しましたので、気持ちは同じで、気合いが入っております。
さて、本日は、新入社員にちなんで、社員の採用についてお話したいと思います。
今後、企業経営者、特に中小企業経営者の皆さま向けに、社員の方の採用から退職までの労務管理について、コラムを連載していきたいと思います。
実際に、顧問業務を行う中で、私どもに寄せられた労働相談の事例から、感想・意見を述べていきます。
【第1回 採用時の留意点:労働条件は十分に説明、確認しよう】
第1回は、採用時の留意点です。
中小企業の経営者の方から、「従業員と揉めています。従業員から『ハローワークの応募書類では、給料は20万円以上となっていたが、実際は15万円しかもらっていない、だから早急に未払賃金を支払ってくれ』と言われてしまいました。」というご相談を非常によくお受けします。
このようなご相談内容をお伺いしていくと、賃金トラブルの原因の多くが、採用時の説明不足にあることがわかります。
具体的に分析すると、最終面接において内定を出す段階で、賃金の話を行っているため、いざ“お金”の段階で、(概ね採用が決まったと思って双方が安心するのか、それとも、あえて経営者の方が明言しなかったのか、原因はまちまちですが、)双方が確認を怠ることがたびたびあるようです。
応募者(従業員)の方は、20万円以上となっているから少なくとも20万円は支給されるはずだ、と当然信じます。一方、雇用する側(経営者)の方は、とりあえず採用してみて満足できれば予定どおりの給料(20万円)を支払うが、期待どおりでなければ15万円ほどで構わないであろう、という気持ちがあるようです。このような意思の不一致が、後々の賃金トラブルの原因となります。
労働基準法では、採用の際に、賃金・労働時間等の労働条件は書面で明示することになっています。面接や入社前の段階で、双方が労働条件を確認して書面にすることが大切です。無用なトラブル、誤解をなくすために、経営者の方は、このぐらいは説明しなくても構わないであろうといった対応ではなく、法令の内容にしたがって書面を作成し、従業員の方にしっかりと労働条件を説明しましょう。
当事務所では、「争いを未然に防ぐ」という観点から、経営者の方向けに、顧問業務を通じて、さまざまな法的アドバイスを行っております。
今後も、随時、労務管理について連載していきたいと思います。
弁護士 坂根 洋平