【法律コラム】交通事故:後遺障害診断書の書き方(4)

こんにちは。弁護士の坂根です。

 

本日も、前回に引き続き、後遺障害診断書の書き方についてご案内していきます。

これまで、「自覚症状」欄、「他覚症状および検査結果」欄についてお話してきましたが、今回は、「関節機能障害」欄(後遺障害診断書の右下)について触れたいと思います。

たとえば、右手首骨折後、骨は癒合したものの、右手関節が曲がりづらくなった場合、「関節機能障害」の欄に、左右の手について関節の可動域(曲がる角度)を記載することになります。

後遺障害等級の認定方法は、健肢(けがをしていない方)と患肢(けがをした方)の角度の「差」で決まります。自動値(自分で曲げる)と他動値(医師が曲げる)がありますが、等級認定は、他動値の「差」に基づいて行います。

上記の右手首骨折の場合でいえば、左手関節の可動域と右手関節の可動域を比べることになりますが、測定時に、左手関節をしっかりと曲がる範囲だけ曲げないと、右手関節の可動域との「差」が小さくなるため、後遺障害が非該当になったり、軽度の等級になったりしてしまいます。また、怪我をした右手関節についても、無理をして必要以上に曲げてしまうと、「よく曲がる」ということになってしまいます。あまり意識しすぎる必要はありませんが、原則として測定し直すことはできませんので、上記のような理屈を知っておく必要があります。

測定時の体調やちょっとした気持ちの違いで、測定結果にバラつきや矛盾が生じることがあるため(たとえば、治療中にも可動域を測定していたが、症状固定時の測定結果の方が可動域が狭く、症状として悪化しているなど)、因果関係や等級について裁判などにおいてもよく問題となります。すでに、関節の可動域やその等級を巡って疑問点があったり、あるいは、すでに争いになっている場合は、できる限り早めにご相談下さい。

 

次回は、「障害内容の増悪・緩解の見通し」欄についてご案内したいと思います。

 

弁護士 坂根 洋平

 

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